東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県で、高齢者向けの居宅介護サービスを提供している57の事業所が震災を理由に休廃止していることがわかった。休止のうち9割は再開できる見通しもない。岩手県でも36事業所がサービスを提供していない。被災地の「介護力」の低下が浮き彫りになった。 宮城県は5月中旬、居宅介護支援、訪問介護、通所介護の各サービスを提供している県内の全1595事業所の現況を調べた。震災を理由とする廃止は10事業所で、休止は47事業所。再開予定を回答できたのは、5カ所にとどまった。 大半が沿岸部にあり、53事業所は建物が使えなくなったことを理由に挙げた。訪問用の自動車を失ったことや、ライフラインが復旧していないという理由も多い。休廃止していなくても、ほかに59事業所が移転や仮設事務所での運営を余儀なくされている。 ------www.asahi.com
頭頸部に癌ができて、化学療法を行った場合、副作用として「口・舌の乾き」がよくみられ、この治療が難しいとされていたのですが、復旦大学付属腫瘤医院中西医結合科が針治療が効果的であることを突き止め、米国国立がん研究所(NCI)から276万米ドルの研究資金を獲得したというニュースが上海で紹介されました。 これまでの研究で、90例を対象に行ったランダム化比較試験で、化学療法を行った6~7週間のうち、毎週3回、1回20分の体3カ所の針治療と耳4カ所の耳針を行ったところ、針治療を行ったグループは、唾液量が増加し、その後も良好な唾液の分泌量が観察されたということです。 そこで、今度は4年の時間をかけて300~360名の頭頸部の癌患者を対象に、唾液量や粘度、PH値、タンパク質含有量などの針治療における変化を調べてみるとのことです。 針灸治療は、器具も手に入れやすく、安全性が比較的高く、何よりも人体への副作用が非常に少ないという特徴があります。また、末期癌でよくみられる癌性の痛みや腸麻痺などの合併症に対しても有効であり、腫瘤病院では、膵臓癌の痛みや、経穴注射による末期膵臓癌の治療などで、鍼灸の理論を取り入れた研究を行っていくということです。 私も、臨床で針灸を使いますが、時には思わぬ効果が出てくることもあり、生薬(中医薬・漢方薬9と是非併用させて活用していきたいと思っています。
急性冠症候群(ACS)患者の冠動脈造影と経皮冠動脈インターベンション(PCI)について、橈骨動脈からのアクセスと大腿動脈からのアクセスを比較検討した「RIVAL」試験の結果、安全性と有効性は同等であったが、橈骨動脈アクセスでは局所での血管合併症が有意に低いことが明らかになった。カナダ・McMaster大学Sanjit S. Jolly氏らの研究グループが、 学術誌「THE LANCET」4月23日号で報告した。 PCI施行時に、橈骨動脈からアクセスした方が大腿動脈と比べ、大出血やイベントのリスクが低い可能性が小規模無作為化試験のメタ解析から示唆されている。ただ、個々の試験は小規模で統計的なパワーが不足しており、臨床的イベントでの有意差を導くことが出来ていない。 同研究は、2006年6月~10年11月までに、32カ国、158施設のACS患者7021例を対象に、冠動脈造影とPCIにおいて橈骨動脈からアクセスする被験者群(3507人)と、大腿動脈からアクセスする被験者群(3514人)に無作為に割付け追跡した。主要評価項目は、30日目の死亡+心筋梗塞+脳卒中+非冠動脈バイパスグラフト(CABG)関連の大出血の複合エンドポイントに設定した。 ベースラインの患者特性は両群でバランスが取れており、不安定狭心症は橈骨動脈群が44.3%、大腿動脈群45.7%、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)はそれぞれ27.2%と28.5%、糖蛋白IIb/IIIa阻害薬の使用率が25.3%と24.0%、PCI施行率65.9%と66.8%であった。 両群とも平均年齢は62歳、PCIを施行された被験者の約95%がステントを留置した。 主要評価項目の発生率は、橈骨動脈群が3.7%、大腿動脈群は4.0%で、両群で有意差はなかった(HR 0.92, 95% CI: 0.72-1.17、P値=0.50)。 また副次評価項目である、30日目の死亡+心筋梗塞または脳卒中の発生率(両群とも3.2%。HR 0.98, 95% CI: 0.77-1.28、P値=0.90)と、非CABG関連の大出血の発生率(橈骨動脈群0.7%、大腿動脈群は0.9%。HR 0.73, 95% CI: 0.43-1.23、P値=0.23)でも有意差はなかった。 一方、副次項目のバスキュラーアクセス部位での大きな合併症は、橈骨動脈群で1.4%発生したのに対し大腿動脈群では3.7%と、橈骨動脈群が有意に低く(HR 0.37, 95% CI: 0.27-0.52、P値<0.0001)、また「ACUITY」試験で採用された定義による非CABG関連の大出血も、橈骨動脈群が1.9% に対し大腿動脈群4.5%(HR 0.43, 95% CI: 0.32-0.57、P値<0.0001)と、有意に低いことがわかった(事後解析結果)。 このほか、大血腫と閉鎖が必要な仮性動脈瘤の発生においても、橈骨動脈群が有意に低かった(それぞれP値<0.0001, P値=0.006)。 また、無作為化前に予め特定したサブ群で、主要評価項目に対して解析したところ、橈骨動脈アクセスによるPCIの実施例が多い上位3分の1の施設で治療を受けた患者(橈骨動脈群1.6% vs大腿動脈群3.2%, HR 0.49, 95% CI: 0.28-0.87、P値=0.05)と、STEMI患者(橈骨動脈群3.1% vs大腿動脈群5.2%, HR 0.60, 95% CI: 0.38-0.94、P値=0.26)で、橈骨動脈群に有意なベネフィットが見られた。 これらの結果から研究グループは、橈骨動脈と大腿動脈のどちらのアクセスでも、PCIの安全性と有効性は同等であるが、局所での血管合併症は橈骨動脈群で有意に低いことが、同アプローチを利用する理由になるのではと結論付けている。 ------www.mixonline.jp
福島第一原発から半径20~30キロの屋内退避(自主避難要請)区域で、住民に十分な医療を提供できない状態が続いている。避難要請に伴って診療や入院受け入れに制約があるためだ。区域内の医療機関は、避難せずに暮らす患者や避難所から通う患者のため、苦心しながら診療している。 福島県南相馬市原町区は屋内退避区域にある。政府の自主避難要請で同市の人口は7万1千人から1万人程度にまで減ったが、次第に住民が戻り、要請は有名無実化。現在は3万5千人程度が暮らすとみられる。 同区内のJR常磐線の原ノ町駅近くの青空会大町病院。週初めの18日、朝から患者の列ができた。外来患者は195人。震災前の半分程度に回復した。 遠くから通う人もいる。40キロほど離れた同県伊達市の避難所にいる男性(48)は、バスとレンタカーを使って片道2時間かけてやって来た。「不整脈の薬が切れていた。いつもの先生に診てもらうと安心できる」 同病院では原発事故後、看護師や職員が相次いで自主避難。屋内退避区域になったことで南相馬市内への物流が滞り、薬不足も深刻になった。このため、176人いた入院患者全員に3月21日までに退院か転院してもらい、いったん閉じた。 戻ってきた住民のために4月4日に外来診療を再開。放射線を防ぐため、原発のある方角の玄関は閉鎖し、反対側の入り口を開けた。通常の薬の配送が止まったため、薬は自衛隊が段ボール箱で届けにくる。 だが、十分な医療は難しい。政府はこの区域での長期入院の受け入れなどを制限しているため、入院が必要な患者は他病院に送っている。治療に時間がかかる人工透析も再開できない。原発の何らかの緊急時に避難を求められる可能性があるからだ。 猪又義光院長は「CTやMRIは動いている。医師がいて看護師も戻ってきている。入院患者の受け入れはできるし、ぜひ再開したいのだが……」と嘆く。 同市の20~30キロ圏内に20床以上を用意する病院は7病院。うち大町病院を含む5病院が再開した。 もう一つの拠点病院、渡辺病院。震災後の3月15日から外来の診療はストップし、国の指示で入院患者を避難させ終わった同19日から休業していた。 渡辺泰章理事長ら5人の医師でシフトを組み、4月4日に診察を再開した。ただ、できるのは簡単な検査と診察だけだ。大町病院と同様、屋内退避区域にあるため、入院患者は受け入れられない。 1日平均約130人の患者が訪れる。甲状腺を悪くし、2年以上通院している永林圭子さん(56)は「悪化したら入院が必要になるかもしれない。でも、この病院で入院できないとなるとどうしたらいいんだろう」と不安を口にした。 「入院しての治療ができないのはまともな医療行為ができないということ。地域医療は崩壊している」と渡辺理事長は言う。原町区は政府から緊急時避難準備区域に指定される可能性が高いが、指定されれば入院患者を受け入れられない状態が続く。理事長は「緊急時避難準備区域から外してもらいたい」と訴える。 南相馬市の入院患者は、北隣の相馬市にある公立相馬総合病院と相馬中央病院に搬送されるケースが多かった。だが、その2病院ともすでにベッド数の8~9割が使用されているため、長期の入院が必要な南相馬市民の受け入れを断念している。病院関係者は「地元の住民の診療を優先せざるを得ない」からだという。このため、南相馬市からの救急搬送が約60キロ離れた福島市内などの病院に運ばれるケースも目立っている。 県地域医療課の林君雄主幹は「この地域の医療をどうするか、国の方針が分からず、県も動けない。厳しい状況だ」と話している。 文部科学省の発表で大町病院付近の放射線量は毎時0.3マイクロシーベルト。原発から約60キロ離れた福島県庁付近(1.2マイクロシーベルト)を下回る。猪又院長は「放射線量は全く心配ない水準。このまま医療を続ける」という。(編集委員・浅井文和、柄谷雅紀、田村隆、木村英昭)
いろいろな組織の細胞がつくれる万能細胞のES細胞(胚〈はい〉性幹細胞)から、多種の細胞が重なっている網膜組織をつくることに、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の笹井芳樹グループディレクターらがマウスで成功した。視細胞を含む6層の立体構造。人工網膜をつくり、失明した患者に移植する再生医療につなげたいという。 グループは「眼杯(がんぱい)」と呼ばれる目の元になる組織に注目。マウスのES細胞を培養液の中で浮かせた状態に保ち、眼杯ができる時に必要なたんぱく質を加え、マウスの胎児の眼杯にそっくりの組織を作りだした。 さらにこの組織の培養を続けた結果、6種類の細胞が層になり、網膜そっくりの組織をつくることができた。直径2ミリほど。今後は移植実験で働きを調べる。 網膜のうち神経を守る「色素上皮細胞」は、すでにES細胞やiPS細胞(人工多能性幹細胞)からつくられ、動物実験が進められている。今回のように、光を受けて電気信号に変えて脳に伝える「神経網膜」も含む立体組織ができたのは初めてという。「ヒトやサルのES細胞でつくった人工網膜をサルに移植する研究を始め、再生医療につなげたい」と笹井さんは話す。(瀬川茂子) --- http://www.asahi.com
国立がん研究センターと日本放射線腫瘍学会、日本臨床腫瘍学会は22日までに、東日本大震災を受け、東北地方の放射線治療の施行状況と、全国での放射線治療とがん薬物療法について、受け入れ可能な施設一覧を公開した。被災者支援に向け、学会発の取り組みも広がりをみせている。 国立がん研究センターHP(http://www.ncc.go.jp/jp/)では、放射線治療について、東北がんネットワークを活用し、施行状況を随時更新。がん薬物療法については、全国的な受け入れ施設一覧を掲載したほか、被災地でのがん治療薬の不足状況なども明らかにしている。 また、被災地で必要ながん治療を受けることができない患者のために、「被災がん患者ホットライン」を開設。がん治療を実施できず、患者の紹介を考慮している医療従事者や、がん治療を受けていた施設で治療ができず、他院での治療を望む患者に、治療が可能な施設を紹介するとしている。 日本放射線腫瘍学会では、全国レベルでの受け入れ可能な施設を公開した。学会では、コーディネーターを置き、患者の受け入れ施設とのマッチングを手助けする考え。詳細は、学会HP(http://www.jastro.or.jp/news/detail.php?eid=00190)まで。そのほか、日本臨床腫瘍学会は、がん薬物療法について、受け入れ可能な診療範囲、連絡医師のリストをHP(http://jsmo.umin.jp/oshirase/20110315.html)に掲載している。